先手羽生名人より角交換、1手損
銀を3筋から5筋にひきつけて2手損
ということで都合先手の3手損。
しかし、手損をしても引き換えに守りを固める(と同時に相手玉が薄くなるのを見越している)という効果で形勢はいい勝負なのですね。
渡辺竜王の覚悟を感じたのは△8八歩の局面。
8八に入城せず7九に玉がいるのは、手損をしたからとも考えられる。ということは手損をして銀をひきつけてきた羽生名人の構想を、渡辺竜王が認めたことになる。
これは悔しい。私が後手だったら絶対に指せない(まあ私は6級ですが)。
しかし、本来の玉を固める竜王スタイルではなく、バルタン星人(すばらしいネーミングセンス)の構えから攻めを重視したところから、今回はいつもと違うと感じさせるものがあった。駒の勢いを重視したということが結果的に功を奏したように思われる。
そして、私が最後にリアルタイムで見た局面が第2図。ここで△4三玉!の顔面受け。 「勝ったら勝着、負けたら敗着」という手である。しかし、総力戦で全部の駒を使って攻め、受ける、というバルタン星人戦略からいうと、理にかなった手である。おそらく竜王は、勝つには入玉しかない、と感覚的に悟っていたのではなかろうか。
第3図。ここで羽生名人は最後の歩を使った。この歩は、△8八歩と打ってもらって得た歩である。 ということは、「手損で一歩稼いだが、それでも一歩足りなかった」というくらい紙一重の差だったということだろう。 久々に「リアルタイムでなく後で見た将棋」で興奮させていただきました。
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